こんにちは。
今回は、下肢の動脈潅流の評価指標、動脈硬化指標である「ABI」についてお伝えします。
ABIとは、Ankle Brachial Index(足関節/上腕血圧比)(足関節/上腕インデックス)。
足関節と上腕間の最高血圧の比率です。
数値が小さくなるほど動脈血流に問題があります。
下肢それぞれの動脈の狭窄度合いの判定も可能です。
ABI=足関節最高血圧/上腕最高血圧(左右の高い方)
本記事の内容
ABIとは?下肢の動脈潅流評価の方法【ICU・集中治療室看護】
どのような場合に測定するのか
閉塞性動脈硬化症(ASO)といった、下肢の血流の程度を評価する場合などに用いられます。
ASOで手術を行う場合、術前術後で下肢の血流がどのように変化しているかを必ず確認すると思いますので、そういった際に使用できます。
ABI測定方法
ドプラ法
患者は仰臥位で上下肢ともに締め付けが無いような恰好になり、安静にしていただきます。
①ドップラーで上腕の収縮期血圧を測定します(左右で値が異なる場合は、高い方)。
②ドップラーで下肢の収縮期血圧を測定します(足背または内顆の高い方)。
③『下肢の血圧÷上肢の血圧』を計算します。
例)下肢120÷上肢110=1.09→動脈血流に問題はないと判断できます
ドップラー使用方法
①患者の体勢が整ったら、血圧計のカフを巻きます。
②上腕動脈や足背動脈・後脛骨動脈(どちらか数値の高い方)の動脈走行周囲にエコー用ジェルを少量塗布し、プローブを当てます。
③一番良く血流音が聴取できる部位を確認できたら、プローブをしっかり固定し、血流音が聴取できなくなるまでカフを加圧していきます。
④カフ圧を下げ、最初に聴取できたところが最高血圧になります。
⑤測定後にジェルを拭き終了です。
form オシロメトリック法
四肢の血圧をオシロメトリック法を用いて測定します。
同時に脈波を記録できます。
ドプラ法と比較し、測定者によるばらつきを防ぐことができ、四肢同時に測定できるため簡便です。
脈波情報も取得できるため、より診断制度が高くなります。
AHAによるPADガイドライン
対象者
50歳以上で喫煙歴または糖尿病がある
65歳以上
しびれや冷感のある患者
基準値
1.40<ABI 高度石灰化等が懸念される
1.00≦ABI≦1.40 正常
0.91≦ABI≦0.9 正常範囲だが要精査
→0.9以下の場合、主幹動脈閉そくの疑いがあります。
0.41≦ABI≦0.90 軽~中程度の閉塞または狭窄の可能性あり
→0.7以下では弾性ストッキングの着用をしても大丈夫か検討する必要があります。
ABI≦0.40 重度の閉塞または狭窄の可能性あり
→0.4以下では血行再建術の適応が検討されます。
最後に
患者さんによって必要となる観察ポイントは異なります。
ABIが必要か否かは患者の病態によって異なりますので、必要に応じてこの指標を用いてみてください。
【参考文献】
北山幸枝:ケアの根拠100創傷ケア足・下腿潰瘍のアセスメント時にABI測定がなぜ必要か,NursingToday,21(12),p37,2006
真田弘美:足・下腿潰瘍の見分け方 足・下腿の潰瘍ナースはどのように観察する?,エキスパートナース,21(3),p21-31,2005