こんにちは。
日々の看護の中で、患者の痛みに対する評価が必要なケースがあります。

「痛みはどのように評価したら良いのだろう」
「評価にはいくつか方法があるのかな」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
術後や疾患の痛み・疼痛を評価する6つの方法【ICU・集中治療室看護】
痛みを評価する方法は多数ありますが、看護師によって評価方法を変えてしまうと患者が混乱してしまうため、患者に合わせて評価方法を決めるようにしましょう。
その際、その患者が評価しやすい方法を検討できると良いと思います。
言葉による評価
意思疎通が図れる場合に使用します。
痛みの程度に応じ、5段階程度の評価基準を設け、適する言葉を選択してもらいましょう。
例えば以下のようになります。
痛みなし
軽度の痛みあり
中等度の痛みあり
重度の痛みあり
最も強い痛みあり
点数による評価
痛みを点数にして評価してもらいましょう。
点数が大きいほど強度の高い痛みになります。
痛みなし:0点
⇅
これまでで最大の痛み・治療開始前の痛み:10点
VAS(Visual Analogue Scale)
10cmの線のスケールを用意し、その目盛上で適した痛みの程度を指示してもらいましょう。
頭で考えるより先に直感的に選択評価できるため、速やかに痛みを表すことができます。
視覚に障害がある場合や指を動かせない場合には使用できません。
痛みなし:0mm、または0cm
⇅
これまでで最大の痛み・治療開始前の痛み:100mm、または10cm
Face Scale(フェイススケール)
患者に今の気分に合致する表情を選んでもらいましょう。
表情はそのときの感情なども出てしまうので、評価の限界があります。
小児や高齢者など、他のスケールの使用がやや難しい場合に用いましょう。
フェイス0:痛みが全くない。
フェイス1:ちょっとだけ痛い。
フェイス2:軽度の痛みがあり、少し辛い。
フェイス3:中等度の痛みがあり、辛い。
フェイス4:かなりの痛みがあり、とても辛い。
フェイス5:耐えられないほどの強い痛みがある。
Face Visual Analogue Scale : F-VAS
スケールの片面にフェイススケール、もう片面に100mmスケールを記して対応させ、フェイススケールと尺度を合わせて評価する方法です。
患者にはフェイススケール側で評価してもらいましょう。
PHPS(Pronce Henry Pain Scale)
術後痛の評価に用いられるスケールです。
行動に伴う痛みの評価で、安静時や体動時の痛みを総合的に評価する方法です。
術後ADL拡大時などの評価には有用です。
0:咳をして痛まない
1:咳をすると痛むが、深呼吸では痛まない
2:深呼吸をすると痛むが安静にしていれば痛まない
3:多少安静時痛はあるが鎮痛薬は必要でない
4:安静時痛があり、鎮痛薬が必要である
最後に
痛みの評価には、その他にも様々な方法があります。
また、患者の行動や鎮痛剤の使用頻度などからも痛みの状況や薬剤の有効性が確認できると思います。
あらゆる五感を使って、患者の痛みの評価ができるようになると良いですね。
<参考・引用>
深田順子ほか:手術侵襲と生体反応から看護援助を組み立てる 術後疼痛への援助を組み立てる.
看護学雑誌,71(2),181-189,2007.
行岡秀和:クリティカルケアで用いる鎮痛・鎮静スケールとその使い方.
看護技術,51(1),36-40,2005.